世界経済の裏で暗躍する知られざる『エコノミック・ヒットマン』の存在|書評と要約

書評

「エコノミック・ヒットマン」著者:ジョン・パーキンス

あなたはエコノミックヒットマンというものを耳にしたことがあるだろうか。

本書は世界経済の裏で暗躍しているエコノミックヒットマン(略称EHM)だった著者が書いた活動記録である。その男の名前はジョン・パーキンス。彼は国際的なコンサルティング会社でエコノミストとして働いていたが、実際はエコノミックヒットマンとして活動していたのだ。

彼らの手口は資源国でありながら貧しい国にエコノミックヒットマンを送り、巨額の融資の話をもちかける。インフラの受注は身内企業にやらせ、借金漬けにして、果ては奴隷国家にする。世界史、金融史を学べば、悲しいことにこのようなやり方はいつものことではあるが、現代でも続いてしまっていることが残念だ。

内容

一部内容を紹介したい。

その手口は実に巧妙だ。典型的な方法として、彼らはまず、石油をはじめ豊富な資源を持つ途上国の指導者に対して世界銀行の融資を受けて国家を近代化すれば飛躍的な経済成長を達成できると言葉巧みにもちかけ、その国に巨額の債務を負わせる。じつのところ、融資された金は巨大なインフラ建設を受注するベクテルやハリバートンなどの米企業と、現地の利権を握っているほんの一部の富裕なエリート層の懐へと流れる

私の仕事には主要な目的が二つあると、クローディンはいった。第一に、巨額の国際融資の必要性を裏づけ、大規模な土木工事や建設工事のプロジェクトを通じてメイン社ならびに他のアメリカ企業(ベクテルやハリバートン、ストーン&ウェブスター、ブラウン&ルートなど)に資金を還流させること。第二に、融資先の国々の経済を破綻させて(もちろんメイン社や工事を請け負った企業に金を支払わせたうえで)、永遠に債務者のいいなりにならざるをえない状況に追いこみ、軍事基地の設備や国連での投票や、石油をはじめとする天然資源の獲得などにおいて、有利な取引をとりつけることだ。

私の仕事は、ひとつの国に数十億ドルの資金を投資すればどんな成果が得られるかを予測することだと、クローディンはいった。つまり、今後二十年からに十五年間の経済成長を予測し、さまざまなプロジェクトがもたらす影響を評価する。たとえば、もしある国がソ連に靡くのを止める目的で10億ドルを貸し付けると決まったら、その金を発電プラント建設に投資して得られる利益と、国内に鉄道網もしくは電気通信システムを築くことに投資する利益とを比較評価するのだ。

まるでスパイ小説さながらの生々しい話が多く、いかに表の歴史が作られた歴史かが分かる。

政治はプロレスであり、歴史は勝者によって作られる。

終わりに

本書はとても信頼を置いている某金融関係者の方のおすすめということで読んだ。経済、政治の話をグローバルな視点で語り、どこから情報持ってきたからわからないような情報を持ってる方でいつも勉強させて頂いている。

あまり多くは書けないので、詳しくは本書を読んでみてほしい。

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