経済を体系的に学べる一冊『奇跡の経済教室【基礎知識編】』|書評と要約

書評

『奇跡の経済教室【基礎知識編】』著者:中野剛志

とてもわかりやすく、本当におすすめの経済本だった。

全体的な内容としては易しいが、基本となる経済用語の知識がないと内容が入ってきづらいかと思う、、これまで学んできた経済学者やメディアなどが発信している情報が誤りだと理解できた。

本書のポイント

端的にいえば、本書のポイントは3つ

①失われた20年の原因

日本が経済成長できていないのは、1997年以降デフレに陥り、ずっとデフレを脱却できていないことが原因

②日本は国債を自国通貨の「円」建てで発行しているので財政破綻することはない

→国家を家庭に置き換えて説明すると、親子間の貸し借りのようなもの。対して、アルゼンチンやギリシャなどの過去に財政破綻した国々は自国通貨ではない「アメリカ・ドル建て」や「ユーロ建て」の国債を売って、外国から借りていたお金を返済できなくなったために財政破綻に追い込まれたのだ。日本は自国通貨建てで国債発行しているので、理論上財政破綻することはない。

③デフレ脱却の解決策は財政支出(公共投資)を増やすこと

→上記の通り、国債発行をし続けても破綻することはないので、とにかくインフレになるまで財政支出を増やして公共投資を行い、賃上げ、消費を活発化させるべきだ。しかしながら公共投資自体1990年代後半以降、大幅に削減されてきた。その理由は財政健全化を優先させたためである。財務省、並びに主要メディアなどは財政破綻論を広め、あたかも財政を良くするために公共投資を減らしたり、消費増税をしないといけないなどと吹聴してきた。本来はそうではない。確かに国債発行をやり過ぎるとハイパーインフレになる恐れはあるが、そうなる前にインフレ目標2%を達成した時点で金融引き締めでインフレを止めれば問題ない、というのが著者の主張だ。現状はインフレにもなっていないのに、このまま金融緩和し続けると日本は破綻する!、国の借金が多すぎてこのままじゃやばい!といった誤った誘導をされており、財政健全化という名の下に財政支出は減り、公共投資に回されず、国民の賃金も増えず、消費も増えていないという状況である。

面白かった点

・貨幣の誕生は「物々交換から貨幣が生まれた」という説が有力ではあるが、証拠資料は発見されていない。それどころか、硬貨が発明されるより数千年前から信用システムが既に存在していた。
・なぜ経済学者は世界金融危機を予測できないのか?それは、そもそも経済学者の理論の元になっているのは物々交換の世界であるからだ。つまり信用貨幣のない世界を想定している。

登場人物、キーワード

・岩田 規久男氏(元日銀副総裁)
著書は『デフレと超円高』『資本主義経済の未来』など。
・セーの法則(一般均衡理論)
・MMT理論(現代貨幣理論):無限に財政赤字を出していいという訳ではなく、財政赤字の大小はインフレ率で判断すべきだという考え方。MMT理論を学ぶならこちらの一冊『MMT現代貨幣理論入門』

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