「世界2.0 メタバースの歩き方と創り方」著者:佐藤航陽
本書を一言でまとめると、世界の真理を知りたいと願う著者の考察本だ。
著者は元メタップスの佐藤さん。数年前から3DCG技術でこの世界のモデリングを制作し始めたそう。メタ(Facebook)によって発表されたメタバースという概念がバズワードになるにつれ、佐藤さんのプロジェクトも注目を浴びるようになってきたのだった。
佐藤さんのブログを昔から見ていて、思考がとても深く、あまり他の人が言語化できていないことを論理的に説明されており、いつも勉強させてもらっている。昔に書かれた『未来に先回りする思考法』はとても示唆に富んだ内容で面白いので、まだ読んでいない方はぜひとも一読してみてください。
そんな佐藤さんの思考が昔から好きで、恐れ多くも自分の思考回路と似ているなと感じている。簡潔にいえば、”世界の真理を知りたい”という知的好奇心が同じである。
さて、話を本書の紹介に移りたい。
本書の構成は前半はメタバースやWeb3について、後半が(本書の核となる内容でもある)具体的な世界の創り方である。
いきなりだが、本書の最後で『本書をきっかけに皆さんの「健全な懐疑心」がくすぐられて、誰もが疑うことのない常識に疑問をつきつけて、世界の「隠された真実」を暴き出し世の中をあっと驚かせる日が来るのを楽しみにしています』とあった。これが最も核心となるメッセージであると感じた。
私自身も、とことん普通や常識を、現実を疑い自分なりに世界の解像度を高めるべきだと常々思っている。
また、著者が仮想通貨取引所買収が出来なかった経験やヤフーの衰退などを例に挙げ、
『未来を予測することができれば十分ではなく、その時に正しい意思決定を行うためには正しい「体制」が必要だということを十分に理解していなかった』と記載があり、本書を読み終えて、未来を予測し、タイミングを見計らえたとしても、その時に瞬時に動ける資金力や体制がないと意味がないのだと学んだ。
それらが合わさった結果を他者から見て、”運が良い”といわれるのだろう。運は平等にやってくるが、掴めるかどうかは準備していた者だけが手に入れることができる。
後半部分の本書の核となっている世界の創り方については長いので割愛するが、ぜひ本書を手に取ってほしい。一部、抜粋して面白かったこととメモしておきたいことを書いていく。
面白かったこと
・佐藤さんがGoogleストリートビューで世界各国の都市を観察して、日本っぽさというのを考えた結果、2つあったという。1つ目は看板だという。欧米は文字を横向きにしか読まないので縦読みの看板はほとんどないが漢字圏では縦読みの看板が特徴的だ。2つ目は道路。歩道の真横に樹木や生垣が植えられている道路は日本の特徴で、海外ではあまり目にしないそう。日本っぽさと言われると侘び寂び、アニメカルチャー、他人との距離が遠いこと、間を大切にする、多宗教を受け入れることができる民族性など、私がいまパッと思いつくワードがこれらであったが(この辺の深堀もまたブログにしたい)、佐藤さんの視点・見方が面白いと感じた。
その他のメモ
「世界2.0 メタバースの歩き方と創り方」より
・近代では情報発信の民主化、金融の民主化が起こり、次のメタバースでは神を民主化する。
・Web3とは「ブロックチェーン技術などを基盤とした非中央集権的なインターネット」
・メタバースの実用的な使い方は現実世界のあらゆるシミュレーション(ビル建設などのシミュレーションを行うこと)
・メタバース革命の主役は、今は名もなき子どもたち
・世の中で非凡な成果を出している人たちに共通するのは、普通の人とは「世界のとらえ方」が全く違うという点。他の人がとらえられていないこの世の中の法則性を正確にとらえていて、普通の人たちにとって「運」に見えることも、彼らには一定のパターンが見えていることが多い。つまり、この世界に対する「解像度」が圧倒的に違う。
・彼らに共通することは、世の中に対する解像度が圧倒的に高く、何をすればどういうことが起きるかという法則性を他の人よりも熟知しており、それを自分なりの勝ちパターンといえるほど磨き上げている点
余談
ちなみに本を読んでこの動画も見たら、更に理解が深まった。対談形式でとてもわかりやすかった。佐藤さんも動画内で言っているが、知っていると理解しているとでは雲泥の差があると。本書で得たことを実践しないと意味がない。3DCGでも作ってみるか。
また、本書で紹介された「Fortnite」というゲームで知られるEpic Games社は非上場企業である。創業者が約50%、中国テンセント社が約40%、ソニーが1.4%の株を持っている。今後、メタバースは必ずくる(くるというか必然の流れ)ので、Epic Games社を間接的に持つという意味でテンセント、ソニーの株を狙うのはアリかな、、そして今(2022年5月15日時点で)底感ありなのでもしかしたらチャンスなのかもしれない。また、ROBLOX社の株も下がっている。いずれにしても、要注目企業であることは間違いない。
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